About 当館について
奈良町資料館についてAbout Naramachi Museum
南都七大寺のひとつ、元興寺の門前町として栄え、かつての奈良町の佇まいを今に残す西新屋町に「奈良町資料館」があります。
昭和60年に私設資料館として誕生した「奈良町資料館」には貴重な資料として、懐かしい昔の看板、美術品や奈良町の艮俗資料や、仏像などがあり、無料公開しております。生活のぬくもりが感じられる民具類を見て、懐かしむお年寄り、昔の人の智恵に目を丸くする子供たち、守り伝えられてきた仏様に静かに手をあわす人。
長年の風雪に耐えてきたこれらのものは、時を越えて人々に感動を与え、今なお光輝く奈良町の魅力として語りつづけられております。
お時間のゆるす限り当館を堪能していただきたいと思います。
想いPhilosophy
誇り
自分や故郷に
誇りを持ち
尊敬
文化遺産を残した
先人や他人を
尊敬し
語る
自分で語れる人へ
ならまちフィールドワークを通じて世界遺産学習を体験し、
持続可能な社会について、自分で様々な課題のゴールを考察してみてください。
奈良町資料館は、持続可能な社会の創り手を育てる教育「ESD」に着眼した体験ミュージアムとして、
「自分や故郷に誇りを持ち」「文化遺産を残した先人や他人を尊敬し」「自分で語れる」人たちを社会に輩出することをめざします。
ならまちとはAbout Naramachi
元興寺の境内跡地
ならまちは、元興寺の境内跡地を中心とする地域を指します。
元興寺は1300年の歴史を持つ南都七大寺のひとつに数えられる寺院です。日本最初の本格的伽藍である法興寺(飛鳥寺)が平城遷都にともなって、新築移転されたのが始まりとされています。
また、元興寺は「古都奈良の文化財」として世界遺産リストに登録されています。
世界文化遺産
「古都奈良の文化財」とは?
古都奈良の文化財は下記の8つの資産で構成されています。
8遺産全体で奈良の歴史や文化の特質が評価され、1998年(平成10年)に「古都奈良の文化財」として世界遺産リストへの登録が決定しました。
世界文化遺産の価値基準のうち下記4つが該当します。
- 国際交流から生まれた
芸術や技術の発展 - 文化や文明の重要な証拠
- 人類の歴史の上で
重要な時代の遺産 - 信仰や伝統などと密接に関連
平城京の外京にあった元興寺
平城京は南北に長い長方形で、中央の朱雀大路を軸として右京と左京に分かれ、更に左京の傾斜地に外京(げきょう)が設けられています。
外京の-線部が元興寺境内で、今の(ならまち)です。
ならまち吉祥堂About Naramachi Kisshoudou
幸福をもたらす女神
吉祥天女と、貧しい女王の宴
聖武天皇の時代、王たち二十三人が集まって順番に宴を開くことを決めました。そのなかに一人、貧しい女王がいて、とてもとても自分には宴を開く余裕がないと悩んでおりました。
「なんて私はあさはかだったのでしょう。今まで他の王たちの宴に出てきたなんて。こんどは私の番。どうか恥ずかしくないもてなしができますように。」と女王は、奈良の左京の服部堂に行って、吉祥天女に泣いてお願いしました。明日が宴という日になって、ふいに女王の乳母が故郷からやって来ました。何ということでしょう。乳母はたくさんの使いの者をともなって、抱えきれないほどの食べ物や飲み物、食器を用意してきたのです。宴の日、すっかり整った食卓は、器もみなピカピカに光る金属製のものばかり。そこに盛りつけられた色とりどりのものめずらしい海の幸、山の幸。おいしそうな飲み物に果物。宴に招かれた王たちは、宴に酔いしれ、みな口々にこのもてなしをほめたたえました。そして、女王が手にしたこともない、高価な衣装や絹や綿、銭などを贈り物として置いて帰りました。女王は乳母に厚くお礼をいい、王たちがくれた美しい衣装を乳母に着せて帰らせました。
そして、自分はさっそく奈良町服部堂の吉祥天女のところにお礼参りに行きました。「ありがとうございました。おかげで王たちに喜んでもらえる宴を開くことができました。」そういって顔をあげた女王は本当に驚いてしまいました。そこには乳母に着せて帰ったはずの衣装を身にまとった吉祥天女が立っておられたのです。不思議に思って乳母の所に行き、尋ねると、乳母は「そのようなことは存じません」と答えました。このようなことから、吉祥天女が女王の信心に感じて賜ったのである事がはっきりと分かります。それ以後、女王は財貨も豊かになり貧しさの憂えもなくなりました。
参考文献:中田祝夫・柳町俊直(1995)、『日本霊異記 新編日本古典文学全集10』小学館
服部堂の吉祥天女
『日本霊異記』第十四「貧しき女王」の中に奈良の左京の服部堂にまつられていた福徳の女神、吉祥天女のことが記されています。この服部堂とは、縁起や巡礼記や、後世の図面等からみて、元興寺小塔院の吉祥堂と呼ばれたと考えられます。
参考文献:岩城隆利(1999)、『元興寺の歴史』吉川弘文館
吉祥堂の山門と吉祥天女像は、平成元年に現在の奈良町資料館(元興寺金堂跡地)に再建されました。
そんな平成の女神である吉祥天女像へ心願成就のお参りする方が絶えない処、それが現在の奈良町なのです。
よくある質問FAQ
- Q奈良町(ならまち)とは?
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A
奈良県奈良市の中心市街地南部に位置する、歴史的町並みが残る地域の通称。
奈良町の大部分は元興寺の境内にあたる。 - Qみがわりさるとは?
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A
奈良町(ならまち)の家の軒先に赤いぬいぐるみがぶら下がっている。これは、「庚申(こうしん)さん」のお使いの申をかたどったお守りで、魔除けを意味し、家の中に災難が入ってこないように吊るしている。災いを代わりに受けてくださることから「身代り申」とよばれている。 また、背中に願い事を書いてつるす「願い申」ともいう。
「庚申さん」とよばれる青面(しょうめん)金剛像は、西新屋町の当館にまつられている。中国の道教の教えを説く庚申信仰は、江戸時代に民間信仰として庶民にひろがった。 言い伝えによると、人の体の中に三尸(さんし)の虫がいて、庚申の日の夜に人が寝ているあいだに体から抜けだし、天帝にその人の悪事を告げにいくという。 その報告により寿命が決まるというので、人々は六十日に一度回ってくる庚申の日は、寝ずに「庚申さん」を供養したという。
徹夜の習わしはなくなったが、身代り申をつるし、庚申さんをまつる信仰は、今もこの町に息づいている。 - Q庚申(こうしん)さんとは?
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A
「庚申信仰」に関しては諸説がありますが、中国の道教の守庚申というのが、奈良末期に日本に伝来され、日本固有の信仰と交じり合い発展したのではないかといわれています。仏教が極楽往生を説くのに対し、道教では現世利益が叶えられるとあって江戸時代には民間信仰として庶民に広まりました。ここ奈良町資料館にも青面 金剛像(しょうめんこんごうぞう)をまつり、庚申信仰が受け継がれています。「庚申さん」と親しみを込めて呼ばれている「庚申」とは「かのえ・さる」つまり十干(甲乙丙・・)と十二支(子丑寅・・)の組合せによるもので、昔は月日をこのようによびました。その組み合わせは60通りあり、60日に一度めぐってきます。
「庚申」の日の夜には人々は寝ずに一夜を明かす守庚申を行います。言い伝えによると、人のお腹のなかには「三尸の虫」という虫がいて、庚申の日の夜に人々が寝静まってから体からぬけだし、その人がしてきた悪事を天帝に告げにいくといわれています。すると、天帝が天の邪鬼に命じてその人に罰を与えるので、人々は三尸の虫がぬけださないように寝ずに過ごしたというわけです。
それでも心配な人は天の邪鬼が嫌いな「身代り申」を家の中に吊るし、三尸の虫の嫌いなコンニャクを食べて悪魔を退散させるのです。
- Q青面(しょうめん)金剛像とは?
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A
日本仏教における信仰対象の1つ。
日本の民間信仰である庚申信仰の中で独自に発展した尊像である。庚申講の本尊として知られ、三尸を押さえる神とされる。 - Q三尸(さんし)の虫とは?
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A
道教に由来するとされる人間の体内にいる虫。三虫(さんちゅう)とも呼ばれている。60日に一度の庚申の日に眠ると三尸が体から抜け出し、天帝にその人間の罪悪を告げ、その人間の命を縮めるとされることから、庚申の夜は眠らずに過ごすようになった。一人では夜を過ごすことは難しいことから、地域で庚申講とよばれる集まりをつくり、会場を決めて集団で庚申待ちが行われるようになった。
庚申待ちは平安貴族の間に始まり、近世に入っては、近隣の庚申講の人々が集まって夜通し酒宴を行うという風習が民間にも広まった。
- Q聖武天皇(しょうむてんのう)について
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A
日本(奈良時代)の第45代天皇 [宝元年(701年)-天平勝宝8年(756年)]
奈良時代の中頃、深く仏教を信仰し全国に国分寺・国分尼寺を建立(こんりゅう)し、奈良の大仏を完成させた天皇。 - Q奈良町服部堂(ならまちはっとりどう)について
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A
宝徳三年(1451)までに吉祥天女を祭っていた諾楽(なら)の左京の服部堂。
宝徳三年(1451)の土一撲で焼失。 - Q日本霊異記(にほんれいいき)とは?
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A
日本最古とされる説話集で正式名は『日本国現報善悪霊異記』
著者は奈良右京の薬師寺の僧の景戒。九世紀初め弘仁年間(810-24)の成立。 - Q元興寺(がんごうじ)について
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A
奈良市にある南都七大寺の1つ。もとは蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の本格的仏教寺院である法興寺で、その後平城京遷都に伴って飛鳥から新都へ移転し、元興寺となる。
奈良町資料館入館無料
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開館カレンダー / 駐車場:なし